大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和26(れ)1231 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人富沢準二郎の上告趣意第一点について。

記録に徴すれば、被告人には別罪につき所論指摘の裁判が確定して居り、原判決

認定の各罪はその裁判確定前に犯されたものであること明らかであるが、原判決は

右確定裁判のあることを明らかにしていないけれども、未だ裁判を経ない本件各罪

について処断したのは、刑法第四五条後段第五〇条を実際上適用した結果に外なら

ず、また右各法条の適用は必ずしもこれを判決に示す要はないのであるから、原判

決に右各法条の適用を掲げないことは違法とするに足りない。なお同法第五〇条に

あたる未だ確定裁判を経ない数罪もまた同法第四五条前段の併合罪というべきであ

るから、原判決が本件各罪につき同条項を適用処断したことはもとより正当であつ

て違法ではない。論旨は理由がない。

同第二点について。

公判廷における被告人の自白は憲法第三八条第三項にいわゆる「本人の自白」に

含まれないことは、当裁判所の判例として示すところである(昭和二三年(れ)第

一六八号、同年七月二九日大法廷判決)から、原判決が被告人の原審公判廷におけ

る自白のみによつて犯罪事実を認定しても違憲ということはできない。論旨は理由

がない。

同第三点について。

所論の量刑不当の主張は、刑訴応急措置法第一三条第二項により上告適法の理由

とならない。

よつて旧刑訴第四四六条により主文のとおり判決する。

この裁判は被告人の自白に関し裁判官井上登に反対意見がある外、裁判官全員一

- 1 -

致の意見によるものであつて、井上裁判官の反対意見は前掲大法廷判決記載のとお

りである。

検察官 田中巳代治関与

昭和二六年九月一八日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!